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20080426

王族公爵

イギリスの男子直系王族(王/女王の息子、もしくは皇太子の息子)は、これまでの例を見るに、成人するか、結婚する時点で、Duke に叙せられる。
これを Royal Duke 王族公爵という。
故ダイアナ妃の遺児、ウィリアム王子とヘンリー王子も成人したが、彼らはまだ Duke に叙せられていない。
扱いとしては、ウェールズ公の世帯員という扱いで、イギリス王室の公式ウェブサイトでもウェールズ公に付随的に扱われている。
ただしこれは彼らが未婚だからで、女王の息子、ヨーク公アンドリュー王子とウェセックス伯エドワード王子の例では、結婚する直前に爵位を叙されているから、ウィリアム、ヘンリーの場合も結婚する段階でそうなるだろう。
思うに、なぜ結婚直前に爵位を叙せられるかというと、これは夫人となる人の呼称のためではないかと思う。
先の記事で述べたとおり、たとえば、アンドリュー王子の妃のセーラという立場では、セーラはアンドリュー王子妃、Princess Andrew of Windsor となるよりない。
現在のイギリス王室では、マイケル・オブ・ケント王子の妃マリー・クリスチーンが同じ立場だ。マイケル・オブ・ケントは独立した爵位を有していないので、マリー・クリスチーンは Princess Michael of Kent と呼ばれるよりない。
女性を呼ぶのに、プリンセス・マイケルだとか、プリンセス・アンドリューというのはいかにも不都合なので、ヨーク公妃セーラと呼ぶためには、夫にヨーク公の爵位が叙されている必要がある。
女王の三男、ウェセックス伯エドワード王子は現在、公爵に叙されていない。これは君主の既婚の嫡出の息子としては極めて異例で、普通はこのような場合、公爵に叙せられる。
これはエディンバラ公の死後、エディンバラ公の位をエドワード王子が改めて帯びることが女王と皇太子、そしてエディンバラ公との間で合意があるからだとバッキンガム宮殿は伝えている。
ウィキペディアでの記述では、ウェセックス伯エドワード王子をエディンバラ公位の継承者と書いているが、これは正確に言えば誤りである。
貴族の爵位の継承は、あらかじめ定められているのであり、エディンバラ公位の継承者は長男のチャールズ皇太子以外にない。
しかしチャールズがエディンバラ公位を継承し、王位についた時点で、エディンバラ公位は王位に統合され、消滅する。
その時点で改めてウェセックス伯エドワード王子にエディンバラ公位が叙せられる、そういう予定になっている。
だからウェセックス伯エドワードは将来的にはエディンバラ公となる予定ではあるが、それは父親の爵位を継承するのではなく、改めて、「初代」のエディンバラ公になるということである。
名前だけでもエディンバラ公位を残したいという、王室の意思がそこにはある。



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