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20081119

愛国者の憂鬱

郵政民営化法案に反対して自民党から追い出された城内実氏がブログで次のようなことをお書きになっている。

 やられた。国籍法の改正案が衆議院本会議を通ってしまった。はじめに気がつくのが遅かったとはいえ、すなおに敗北を認めよう。しかし、今回のことをわれわれは教訓にしなければならない。日本の真珠湾攻撃に対してアメリカが「Remember Pearlhavour(リメンバー・パールハーバー=卑劣な真珠湾攻撃を忘れずにジャップをたたきのめせ)」のスローガンを使って戦意高揚に走ったことを思いおこそう。その真偽のほどはさだかではないが、ルーズベルト大統領はじめアメリカのたったひとにぎりの政府高官は、日本軍が真珠湾の太平洋艦隊を奇襲する情報を入手しておきながら、アメリカ国民の日本人に対する敵愾心をあおるために、あえて現地の司令官に伝えずに自国軍を見殺しにしたという説がある。もしこれが本当だとするとなんとしたたかなやり方だということだ。

ものすごく熱くなっているようが、今回の法案を提出したのは法務省であって、6月20日に最高裁違憲判決があった当初から、この方針は明言されていたはず。
城内先生、まさか、違憲判決もご存じなかったということはないでしょうに。
既に先述している通り、違憲判決が判例として確定した以上、法務省としては法改正に臨むより他に手立ては無いわけで、この法案提出もごくごく事務的なルーチンワーク以上の意味はない。
城内先生は何と戦っていらっしゃるのだろうか。
城内先生のこの文章を文字通り読んで、「ぼくらの城内先生!がんばれ!」と思う人もいるのだろうから、世の中は広いと言うべきだろうが、私が思ったのは、
「違憲判決を受けての法務省方針も知らないの?新聞読んでいるの?大丈夫?」
「司法と行政の関係も知らないの?これで政治家やってたの?大丈夫?」
というものであり、愛国者の方々とはおそらくベクトルが真逆だろうが、日本の将来におおいに不安を抱いた次第である。
ここで書かれた文章が何らかのポーズでないとすれば、愛国者ならば、新聞に書いてある程度の情報に疎く、行政の初歩的なメカニズムも知らないような人を、国政の場所に送り出そうとするはずがないと信じるが、さて、城内氏のこの論評をどう評価するかが愛国者か、それとも単なる愛国気分者かの試金石になるように思う。
政治的立場はどうでもいいが、少なくとも政治家には最低でも平均程度の情報収集能力とリテラシーが欲しいものだ。

[追記]
城内氏のブログにトラックバックを送っていたが削除されたよう。
国民に異論を与えた上で、判断の材料とさせるほどには、城内先生は国民の利益は重視なさっておられないようだ。
[追記2]
そう書いたところ、半日後に再び確認したところ復活していた。
手違いなのか、私が上記の追記を書いたのでまずいと思われたのか、お考えを改められたのか、事務所の人が削除したのを後でご当人が修正したのかは分からない。
分かる事実としては、その時点で3件あったトラックバックのうち、批判的な私の記事のみが削除されて、半日後に確認したところ復活していたということだけだ。



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