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20040903

極東ロシアの中国人

あなたは保守かリベラルかと時々聞かれるが、自分でも分からない。評価は他人がするものだから、その他人の目から見て鵺のように見えるというならば、どうして自分が何者か分かろうか。
自分としてはわりと単純な考えをしていると思うのだが、人工中絶反対、同性愛者の結婚支持、在日朝鮮人に対する選挙権付与反対、天皇制廃止支持とくると、パッケージ主義者(抱き合わせ販売主義者とも個人的には呼んでいる)にはどうにも頭がこんがらがるようなのだ。
基本的人権を重視する自由主義者、というのが一番しっくりくる説明だが、この自由主義というもの自体が鵺的であるとすれば、どのみち鵺やグリフォン、ウナギ犬の同類となるようだ。
我ながら保守的だなと思う部分は、習慣的な呼称の部分である。
柔ちゃんは未だに田村亮子と呼んでしまうし、さまぁーずをバカルディと呼ぶにいたっては旧名を思い出すほうが手間のようにも感じなくもないが、そう呼んでしまう。
1989年の東欧革命以後、ソ連圏の地名が変更になったが(というか旧に復した)、サンクト・ペテルブルクをついついレニングラードと呼びたくなる自分がいる。共産主義者でもないのに。
ソ連がロシアに「戻った」のはまあいいとして、これも最初はなじめなかった。英語圏ではソ連時代もずっと Russia と呼んでいたそうだが、ロシア連邦なんていうのに登場されると、オーストリア・ハンガリー二重帝国も復活か?というような落ち着かない気がした。
時代がかって見えたのである。
まあこれは私個人の感覚だから、私がただ単におかしいというだけのことである。
しかし新聞がロシアを「ロ」と略するのは、おかしいと感じる方が普通のような気がする。
ロシアの略は長らく露であり、日ロ関係、日ロ戦争ってなによ?と憤然とするのはそれほど不当なことではないのではなかろうか。
日ロ関係でもいいという人は日ベイ安保とか日チュウ友好条約という表記を是非、使用して欲しいものだ。
新聞は本当にやりそうで怖いけれど。
長い枕だったけれども、今日は極東ロシアのはなし。

2年前とやや古い話だけれども、ロシア経済トピックスに極東ロシアにおいて中国人が急増しているという話が伝えられている。

ロシア移住局資料によると、過去13年間にロシア極東地域の中国人人口が 約1百万人に達し、ロシア人の人口が約10%減少した。ロシア極東の中国国境地帯では約5百万人が居住しているが、中国東北3省に 1億人以上が居住している。

とのこと。ロシアの人口が1億4550万人(外務省ホームページ)、極東ロシアの人口はそのうちの4%程度らしいので580万人前後だろうか。
極東部の人口減は特に急激だというから、500万から550万くらいの間で見積もっていたほうがいいかも知れない。
そうした中において、すでに中国人が100万人入り込んでいるというのである。
しかも未確認の人や、行ったり来たりをしている人もいるはずだから、実数は更に多いはずである。これは2年前の状況だから、今現在は状況が進行していることが予想される。
これはもはや侵略であろう。
それに更に追い討ちをかけるように、中国がロシアに対してWTO加盟交渉の一環として、中国人労働者の自由移動を要求している。
もし、それが認められれば、中国にしてみれば1千万人単位の労働者を極東ロシアに送り出すことは容易なはずで、恐ろしいことに認められなくてもあるいは容易かも知れない。
眠れる獅子と白人一般に半ば莫迦にされていたケ小平以前の中国の、その恐ろしさを見抜いていた点においては、スターリンはさすがに慧眼だったと言えるだろう。
中国と長い国境を接することを恐れ、スターリンは中間地にモンゴル人民共和国をこしらえた。もちろん、満州-沿海州においては中露は充分に長い国境を接しているのだが、外蒙古がその国境に連なっていたならば、中露の緊張は今程度のものでは済まなかっただろう。
アメリカ合衆国へのメキシコ人の流入もすさまじいものがあるが、アメリカ合衆国はメインランドに相当な人口を抱えている。メキシコ人全体よりも多い。
対して極東ロシアはたったの550万程度しかあの広大な土地に人口がいないのだ。中国政府がその気になれば、あっというまにそれを上回る人間を送り込むことが出来る。
労働者の供給、あるいは移住という形で、16世紀以来、コサックが営々と作り上げてきた極東ロシアを事実上乗っ取ることが可能である。
これは侵略だ、とさきほど私は書いたが、侵略でさえないと言ったほうがいいかも知れない。ロシア人が極東に発したわけではない以上、彼らがそこにいるということは移住の結果であり、それと同じことを自分たちがやって何が悪いというロジックを中国人は掲げることも出来よう。
しかも、それをおしとどめることは容易ではなく、ほとんど不可能かも知れない。
プーチンがこの問題について、正面から取り組んでいないように見えるのは、正面から取り組むと問題を浮かび上がらせるからで、問題が問題として生じてもロシアには解決能力がない。
目をそらせ、見てしまえば危機は現実化する、ということではないだろうか。



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